仕事図鑑は岡山にある会社をインタビューし、これから就職を考える学生、社会人に仕事の魅力を届ける情報サイトです。知らない会社、仕事が見つかるだけではなく、知っている会社、仕事にも新たな発見があるサイトです。
クラカグループとは
▲ りんごのロゴ
クラカグループは青果物の卸売業と、カット野菜の製造販売をしている会社だ。創業は今から80年以上前の1932年。「吉田商店」から始まり、りんごの卸売で会社は成長していった。今ではグループ3社、年商146億(2014年度)だ。

クラカグループは、「倉敷青果荷受組合」「クラカフレッシュ株式会社」「クラカコーポレーション株式会社」の3社から成る。

「倉敷青果荷受組合」「クラカフレッシュ株式会社」は青果物の卸売業とカット野菜の製造販売を担っている会社で、大手スーパーやコンビニエンスストアなど、大規模な取引の場合、倉敷青果荷受組合が取引をし、個人商店や、飲食店などの小規模の取引の場合は、クラカフレッシュが取引をしている。

カット野菜の製造販売は、1998年、社長の「これからの時代はカット野菜だろう」という一言から始まったそうだ。青果卸売市場としてカット野菜事業に取り組む先駆けだった。受注量は右肩上がりで、16年の間に、9回も工場の拡張をしており、現在は10回目の拡張工事を計画中だそうだ。

▲ 倉敷青果荷受組合に積まれるキャベツ

▲ クラカコーポレーションのドレッシング

▲ 倉敷青果荷受組合に積まれる梨

クラカの営業
倉敷青果荷受組合の営業職の中には、荷受の営業担当者と、カット野菜の営業担当者がいる。

荷受の営業担当者は、「わたしはトマト担当です」「わたしはピーマンときゅうり担当です」などというように、品目ごとに担当者がいて、仕入れから販売まで一貫して担当しているようだ。JAなどを通じ全国各地から仕入れ、仕入れたものの販売先を探し、お金の回収までする、いわば個人商店だ。年に何度か産地を訪問することもあり、トータルで責任をもって担当できることが、荷受の営業の醍醐味だそうだ。

営業と言えば、「○○を仕入れたので売りませんか?」とスーパーなどのバイヤーに持ちかけるところを想像するが、それに加え、バイヤーから「こういうものを仕入れてください」と依頼されることもあるそうだ。

カット野菜の営業は、仕入れと販売とで担当が分かれている。
カット野菜は一年中安定価格で変わらないのが売りなので、この時期のキャベツは高いから、カット野菜の値段も上げるというわけにはいかない。安定価格で供給しなければならないので、安定価格で仕入れなければならないのだ。そのため、荷受の部門で仕入れた野菜でカット野菜を製造していると、価格に変動が起きるので、カット野菜に使われる野菜は、農家と契約をして、安定価格で仕入れている。クラカグループとしては、年間を通して仕入れることができ、農家としては、安定収入が得られる仕組みだ。カット野菜部の仕入れの営業担当は、この契約農家を探すことに専念できるようになっている。
また、販売に関しては、取引先が、スーパーやコンビニ、外食産業など多岐にわたり、求められるカットの仕方もそれぞれ異なってくるので、それぞれのお客様の要望に沿った提案をすることが求められるため、販売は販売の営業担当を置き、販売に専念できるようになっている。

小口の取引を行うクラカフレッシュでは、また少し営業の形態が異なり、品目に特化するのではなく、お客様それぞれの店舗で必要なものを、丸のままでもカット野菜でも、販売するという形態複数店舗を担当している。
その他の職種について
▲ 電話応対をする営業アシスタントの仕事
営業をサポートするのが営業アシスタントだ。営業アシスタントは、伝票入力や電話対応、来客の対応や、書類作成などを通して、営業のサポートをする。カット野菜部の営業アシスタントとなると、加えてお客様へカット野菜の提案をする際のプレゼン用の資料作成なども担う。また、カット野菜部には、営業アシスタント以外にも、事務アシスタントがおり、カット野菜の現場とお客様・得意先を繋ぐパイプ役を担っている。具体的には、お客様から、「○○が届いてないよ」「違うものが届いていた」などの問題を最初に受け、いち早く製造の現場に伝えたりというような対応をする。

カット野菜の製造部門を担っているのは、高卒で入社した社員や、パートの方だ。パートは中国人や、パキスタン人、ベトナム人など、多国籍だそうで、カット野菜の製造の現場の生産管理の担当は、主に大卒者なのだが、クレーム対応や工程管理、品質管理、従業員のシフト管理だけではなく、外国人の生活管理までしているそうだ。
食の安全への取り組み
食品を扱う上で一番注意しなければならないのが「食の安全」だ。そして、食の安全を考えたときに、まず思い浮かぶのは、菌による害と、異物混入だろう。

クラカグループも、これら2点には特に気を付け、対策をいくつもとっている。まず、菌への対策としては、体に無害で安全な電解次亜水を使用し殺菌したり、手袋を何重にも重ねてつけるという取り組みをしている。この殺菌水を溜めているタンクにも、異物が入ってしまっては、工場全体に影響の出ることなので、鉄柵をすることで、異物混入を防いでいる。そのほかに、異物混入の対策としては、食品を切るための刃物が万が一欠けていて、混入してもわかるように、金属探知機やX線異物検出機、LEDライトで調べるということともしている。異物混入と聞けば、食品の中に、髪の毛やビニールなど、食品ではないものが混入しているものを想像するが、例えば、キャベツの千切りだけのカット野菜の中に、ニンジンが入っているなど、関係のない食品が混ざっているものも異物混入となるので、最終的には、人の目で異物混入がないことをもう一度確認して、商品を出しているそうだ。

工場では、入退室管理もしっかりされ、監視カメラを設置し、マイクで指示を出せるようにもなっている。

取引先の大手企業の中には、工場見学をし、具体的に気になったところの改善点を指示していく企業もあるそうだ。

こういった取り組みと、2014年で16年という西日本最大級のカット野菜工場の歴史と経験、250名という、比較的小規模であることにより、「0157」など、食の安全を脅かすような問題は、クラカグループでは今まで一度もおきていないのだそうだ。
輸入青果部
▲ 岡山のぶどう
クラカグループでは、全国から青果物を仕入れ、中四国に納品するのがメインだが、海外からの仕入れも行っている。代表的なものに、バナナや、キウイ、かんきつ類などの果物がある。現在は、果物だけでなく、新たな取り組みとしてパプリカやオクラなど輸入野菜にも力を入れているそうだ。

バナナは、真っ青な状態で主にフィリピンやエクアドルから仕入れ、自社に構えた追熟加工施設の中で、コンピュータで温度調節をして、黄色に追熟させてから出荷しているそうだ。

最近では、輸入だけでなく、輸出も始めた。輸出したのは、ぶどうだ。中国や、台湾の富裕層は日本の野菜や果物を好んで買うようで、元々バナナなどの輸入をしていたことから、商社とつながりがあり、そこから輸出の話が来て、ぶどうの輸出をすることになったようだ。今後は輸出にも力を入れていくそうだ。
インタビュアーから
卸売業は今まで生活してきたなかで接する機会がなかったのでどんな仕事があり、どんな働き方をしているのか想像もできなかったのですが、今回お話を伺い、営業職でも仕入れから販売までトータルに携わっていたり、仕入れだけに特化していたり、様々な働き方があると知り、このような働き方があるのはクラカさんだけかもしれないですが、卸売業に関してだけでなく、働き方に関しても、新たな発見がありました。