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株式会社イケルという会社
▲イケルの社屋
株式会社イケルは2010年に設立されたお客様の情報発信を支援している会社だ。中でもホームページの制作をメインに行っている。ヒアリングを行う中で発信する情報の種をお客様の中から見つけ出し、必要に応じてホームページ制作と合わせて、似顔絵作成やIT支援、印刷物制作(名刺・診察券・ポスター・案内はがき・電子ブック・ロゴ)などのサービスを提供している。
イケルという社名
▲イケルという社名の由来
IKELという社名はInformation(情報)、Kind(優しい)、Enjoy(楽しい)、Lead(導く)の4つの単語の頭文字による造語から成っている。この誰もが分かる英単語を組み合わせた社名には「お客様に情報を優しく、楽しみながら発信することを導く存在でありたい。」という想いが込められている。○○システムやウェブ○○などのいわゆるITで馴染のある社名を付けなかったのはITという道具の狭い範囲にとらわれず、情報発信を行うという会社の方針にもつながる。必然的に生まれた、誰でも分かりやすく覚えやすい社名になったようだ。
ホームページ制作は目的ではなく手段
ホームページといえば、インターネット上に簡単に制作するための無料のツールが出回っているため、個人でも作ろうと思えばホームページを制作することはできる。ただ、どうしても個人で制作するとありあわせの素材を多用してしまい手作り感溢れるものになってしまうことが多いため、企業が自社のホームページを持とうと思うと、ホームページ制作会社に依頼することが多い。しかしホームページ制作会社に制作を依頼しても、必ずしも満足のいくホームページが出来上がるとは限らない。それは、ホームページはあくまで情報を発信するためのツールであり、発信する情報の価値が高くなければ、発信しても思ったような効果が得られないからだ。

イケルは「伝えるを楽しみ、伝えるを育て、伝えるを広げる」という経営理念を掲げている。

これは、自分達自身が『伝える』を楽しむことを実践し、頑張らなくても『伝わる』ように世の中にある色々な伝える手段を使えるように育ち、『伝える』大切さを周りに広めていく。という意味が込められている。

お客様と話をしている中で、ホームページよりも印刷物の方が情報を発信するツールとして価値が高いと思ったらホームページを制作しないという選択もあるようだ。イケルの仕事はあくまで「情報発信」であり、ホームページ制作ありきではないからだ。ただ、いままでの経験からホームページでの情報発信が価値を作るケースが多かったのと、ホームページだと一度制作したあと、その反応を見ながら次の情報発信にも活かしやすいため、結果としてホームページ制作をすることが多くなっているのだという。

▲ホームページ制作事例1

▲ホームページ制作事例2

▲ホームページ制作事例3

発信する情報の価値を高めるために
▲お客様との打ち合わせ風景
イケルがメインのターゲットにしている業界は医療業界だ。その理由は2つある。1つはイケルの従業員は子育て世代の女性が多く、今後の子どもの成長を考えたときに医療業界に対する興味関心がとても高いからだ。地域に根差した素晴らしい病院の情報発信のお手伝いをすることで、その病院が長く存続することはイケルの従業員にとって、とても価値が高いということなのだ。そしてもう1つは、情報発信が上手に出来ていない病院が多いからだ。病院を選ぶ患者さんが病院を選ぶ基準は口コミや、大きな病院ならば安心というものが多く、その根底には、病院はどこにいっても一緒だろうという考え方がある。医療行為というのは疾患を治すことだが、その治療に携わるのは生身の人であり、治療の対象も機械やロボットではなく生身の人。医療行為はa+b=cという誰がどうやっても同じ結果がでるという方程式は存在しないので、当然、どんな先生が、どんな想いで知識や技術を磨き、日々の治療に臨むのかによって差は出てくる。イケルはいい先生、いい病院を残していきたいと考えているため、人に焦点を当てるのだそうだ。

第一印象では、あまり気が乗らないと感じることもあるけど、じっくりと話をすると、自分が間違っているということに気付くことがよくあると山下社長は言う。そっけない態度などからそういう印象を受けても、驚くほど技術にこだわりを持っていたり、熱い想いを持っていることがあるため、その一つ一つを言葉にして、発信する情報にしていくことは、イケルが力になれる部分だと感じているのだという。

そういった情報を見つけ、価値を見いだすためにはじっくりと時間をかけてコミュニケーションを深め、お客様の価値を言葉にして発信するホームページを制作している。その姿勢に満足をしてもらっているからか、イケルで一度ホームページを制作したお客様の多くはリニューアルの依頼をしてくれるのだそうだ。
情報発信は“こだわり”からではなく、“たどり着いた”もの
▲山下社長
2010年にIT企業であるイケルを創業した山下社長は、創業当時、ソフトバンクの孫さんのように、強烈に実現したい明確なビジョンを持って起業したわけではなかったようだ。山下社長は大学卒業後、文系で興味があったわけでもなかったが、当時これから伸びると言われていたIT業界の会社に入社をした。プログラム開発の仕事に携わり、いろいろな業界のシステムに関わる中で、独立のきっかけが訪れた。その時に、ビジネスとして何をやっていこうかと考え、ある程度経験があり、今後も伸びていきそうだと思ったホームページの制作をすると決めた。ただのホームページ制作ではなく、情報発信としたのは、言われたことをそのままホームページにするだけでは将来誰でもできる技術となってしまいそうで未来が明るくない。付加価値を付けるためにはインタビューによって、お客様の情報を吸い上げ、価値が高まるように整理をしたものをホームページにしていくことでビジネスになると考えたのだ。

「若い方の中には自分はどんな未来を描いていこうかと、自分探しをするという人もいるけど、やっている自分の仕事の中で、自分のやりがいを見つけていくというやり方もあり、これも大切なことだと思う。」と山下社長が言うように、山下社長がIT業界に身を置き、イケルという会社を起ち上げ、イケルを成長させていくのは、最初からこだわりを持って進めていたことではなく、自分達や自分達を取り巻く状況から、今何をするべきなのか、周りにどう貢献ができるのか、ということを考え続けたどり着いた結果なのだ。
自分達ができること、貢献できることから事業が成長していく
▲社員とのコミュニケーションは欠かせない
2015年1月現在イケルには山下社長と4名の社員がおり、山下社長以外は全員女性だ。女性社員にこだわって採用しているわけではなく、自然とこの形になっていったのだそうだ。会社が大きくなってくると社員一人一人の仕事を専門特化させていき、全員が集まることで会社全体の仕事が回るという組織になっていくのかもしれないが、イケルはまだ少人数のため、一人が自分の専門の仕事をするだけではなく全員で様々な仕事を兼務している。一つのことに特化させ専門性を追及させていくのならば男性の方が向いている人が多いように感じるが、今のイケルの形では結果的に女性の方が活躍できることが多かったからこうなっていったのだという。今のイケルの状況で、社員が仕事を楽しみ、最高のパフォーマンスを発揮することを考えると、自然とコミュニケーションが多く、明るくラフな社風になっていったようだ。社内ではプライベートのことも仕事のことも話し合い、将来の夢を全員で共有するという文化もあるため社員の夢、社長の夢も全員が把握している。その夢は仕事上のことだけではなく、どんな車を買うとか、どこに旅行にいくというプライベートの夢も含まれる。会社がその夢を実現させてあげられるような環境作りやチャンスを与えることができれば、社員も自分事として仕事を楽しむことができると山下社長は考えているのだ。

イケルの仕事の中に似顔絵作成というものがある。これはイラストを描くことのできる従業員のスキルをどうやったらビジネスにすることができるかということで生まれたものだ。名刺に似顔絵のイラストを入れると名刺交換後も覚えてもらいやすかったり、名刺交換した時の会話のきっかけになりやすく名刺というビジネスツールに1つ情報発信の価値を付加することができるものになる。
今いる従業員、取引先様、周りの環境の中で求められている形に成長していく。これがイケルのスタンスなのだ。
インタビュアーから
ホームページを作成する中で、様々な人の想いが込められていることを知りました。ホームページが完成するとお客様と共に達成感を分かち合うことが出来るのは、それだけ真剣にお客様と向き合っているからこそだと思います。ホームページを作成する中でお客様の考えを導き出し、価値を引き出すことができる仕事だと感じました。