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創明コンサルティング・ブレインという社名
創明コンサルティング・ブレインは、会計事務所をベースとした経営コンサルティング会社だ。会計事務所というと、どうしても、監査や、税金の計算をしてくれるところと思われがちなので、この社名にしたという。「明るい未来を創りたい」という想い、また、三国志の諸葛孔明の「明」また、「ブレイン」を入れ、経営に役立つ参謀となりたい、という想いも込められている。
創明コンサルティング・ブレインの仕事とは
税理士の仕事とはなんだろうか。税金の計算をして税務署に申告したり、決算書を作る仕事、そんなイメージではないだろうか。会社を運営していると、税の報告の義務があったり、銀行にお金を借りる際に提出するために決算書は必要となってくるので、そのために存在する仕事が税理士の仕事だと。

しかしこれは、ほんの一部にすぎない。「一般の人が想像する以上に、会計事務所の守備範囲は広い」と宮﨑先生は言う。

決算書から関連して言えば、創明コンサルティング・ブレインでは、未来デザイン決算書というものを作成し、これを元に経営のコンサルティングをしている。

決算書は税務署や金融機関に提出するために税法や会社法のルールに基づいて作成されたもの。この制度会計による決算書は、過去の実績数値を羅列したもので理解しづらく、これを今後の経営に生かそうと思っても、なかなか簡単ではない。そこで、経営に生かせるように、未来志向でこれからのことがわかるように決算書をわかりやすく表したものが未来デザイン決算書なのだそうだ。

他には、生命保険の販売。生命保険は、節税対策になる。生保を契約すると経費で落ちるので、売り上げがたくさん出たが、節税したいなと思ったときの選択肢となる。しかし、宮﨑先生が生保を勧めるのは、節税のためだけではない。中小企業などでは、社長がリタイヤするときに退職金を取れるだけのお金があると思っていても、いざ退職金を払うとなったときに、お金が用意できないときがある。そんなときの助けになるのだ。現在ではまだ「節税対策になりますよ」と売られていることが多い。だから何のための生命保険なのかを正しく伝えていきたい、と宮崎先生は言う。

それから、相続に関するサポート。税理士が相続のサポートをすると言えば、思いつくのが相続税。とは言え「うちはそんなに資産もないし、相続税とは関係ないわ」と思う方が多いのが現実だ。実際、現在は100人亡くなられても、4人しか、相続税がかからない。来年、2015年には、相続税が上がるが、それでも対象者は100人中6~8人で、そんなに多くの人ではない。

では、相続に関してどんなお手伝いをするかというと、そもそも相続とは何をすればいいのかわからない方が多いので、DMを送って相続に関わる手続きなどを紹介し、お客様にとって必要なサポートをする。例えば、預金口座の名義の変更や、弁護士の紹介など。相続にかかわるサポートは、普通の税理士は相続税の計算ぐらいしかしない。しかし、相続全体のサポートをするのは、お客様が困っていることがあるのなら手伝ってあげようと思うのが創明コンサルティング・ブレインだからだ。

もう一つ大きな業務として、企業の再生のお手伝いがあるようだ。お手伝いをしていく中で、盛り返す企業もあれば、破綻していく企業ももちろんある。宮﨑先生の言葉でとても印象だったのが「果たして破綻は失敗なのか」ということ。

2億円の借金を抱えたある企業があったとする。この企業は息子さんへ事業承継の時期でもあった。そのとき、2億円の借金を抱えたまま息子が継ぐのと、どこかの会社にM&Aで買い取ってもらい、借金がない状態で新たに事業を始めるのと、どちらがいいかと言われたら後者だろう。この場合、もとの企業を見ると、破綻ということになるが、この企業の社長をしていた方も、その息子さんもそれで幸せなのであれば、失敗ではないのではないだろうか。だから、社長さん、息子さんの話をしっかり聞くようにしているそうだ。破綻は失敗ではないと伝えながら。本当に2億の借金を抱えたまま継ぎたいのか、と。

目の前の困っているお客様にとって、なにが一番いいのか、それを一緒に考えて、お客様が幸せになるように一緒に取り組んでいけるところに一番やりがいを感じるという。
この使命感はどこから生まれてきたのか
宮﨑先生の父親は工務店を経営されていたそうだ。宮﨑先生が幼い頃、集金についていったことがあるのだそうだが、車で待っていると、父親は、とぼとぼと戻ってきた。どうやら集金ができず、踏み倒されたようだ。そこで幼いながら思ったのが、計理士(そんな資格はないのだが、当時税理士のことをこう呼んでいる人もいた)がしっかりすれば、お父さんも集金ができるし、集金先の会社もお金が払えるのだ、と。なんとかして、そんなふうに困っている社長さんを助けたいと思い、公認会計士・税理士を目指したのだそうだ。ここが原体験となっているのだろうと宮﨑先生は言う。
お客様ってどんな人?
創明コンサルティング・ブレインでは現在約150社のお客様のサポートをしている。一人でだいたい20社ほど見ているのだが、一人だけで担当するということはない。どうしても、一人で担当してしまうと、進歩もなく、新鮮味もなく、お客様の抱えている問題点に気付かなくなってしまうからだ。会社をどう発展させていこうか日々悩まれている社長さんのところに行って、問題はありませんでした、と帰ってくることが逆に問題なのだ。なので、二人で40~60社を担当するという体制をとっていて、担当が変わることもある。創明コンサルティング・ブレインのお客様はすでにお客様の社長さんから紹介していただくことが多いという。ほかにも、セミナーに参加してくれた方からや、DMを送った方からということもある。

業種でいうと、社会福祉法人のサポートに重点的に取り組んでいる。世の中の税理士の中で医業に特化した税理士というのは多いのだが社会福祉法人のサポートをしている税理士は少ないそうだ。社会福祉法人は公益性が高いので経営という観念がなじみにくく、そもそも利益という発想がないので、税理士は税金が発生しないと考えて、自分達の出番ではないと思ってしまう。しかし、社会福祉法人は今後の制度・法改正を考慮すると、自助努力で安定した経営を行うことが求められる。「事業の存続費」としての利益を生む経営努力をすることが福祉施設に求められており、これも「地域の福祉サービスを守る」という強い使命感を原動力にサポートしているとのことだ。
日々の仕事
大半の時間は外に出て仕事をしているそうだ。会計士として企業の監査をしていることもあるが、監査が必要な上場企業の多くは本社を東京に置いているため、岡山で監査の仕事というのはほとんどなく、経営コンサルティングをするため、お客様のところに足を運んでいることが多い。
今後の夢
▲セミナーをしている宮崎先生
2014年7月に一般社団法人未来会計マスター協会を設立。これはすべてのひとが決算書を未来志向で活用できるように、未来デザイン決算書が読める未来会計マスターを作っていくことを目的とした協会。本来、定款には決算書を公開しなければならないと書かれているだが、多くの会社が公開していない。普通の決算書では少し公開しにくいところもあると思うので、未来デザイン決算書を公開していきましょうという理念で、運営していくとのとこと。公開すると転職者や新卒者が会社を選ぶ一つの基準となり、その企業と新たに取引をしようと考えている企業が相手の企業を知ることもできる。

5年後の夢としては、海外に出たいと宮崎先生は言う。会計はどこの国に行っても共通なので、未来デザイン決算書をどんどん広めていきたいというのだ。そして海外の中でも特にフィリピンに興味がある。シンガポールが今注目を集めているが、フィリピンも発展が目覚ましく、首都のマニラは、東京より栄えているのではないかと思えるほどだそうだ。岡山から東京まで行こうと思うと、約4時間かかる。フィリピンまでも飛行機で4時間なので、海外と言ってもそんなに遠くはない。未来デザイン決算書を海外にまで広めていきたい。